先日、能のセミナーに行ったとき、ある大学教授が「海士」の玉之段の仕舞を見た後、こんなことを話していた。
「当て振りは、詞章に『見れば』とあれば、観客が『見れば』と聞いた後に見る動きをする、そういうタイミングが重要なのではないかと思うんです。観客に伝わるように。」
と、話されたので、ドキッとした。
(当て振りとは詞章そのものを表現する振りで、歌舞伎舞踊に特に多い)
なぜドキッとしたかというと、少し前、連獅子のお稽古の時に、恵都子先生に同じことを言われたから。
何を言われたのかというと・・・
歌詞「峰を仰げば」の「峰」を聞かせてから峰を見る振りをし始めなければ伝わらない。少し動き出すのが早い。それじゃダメ。
そう注意された。
能もゆっくりだけど、日本舞踊も同じく。
「峰を仰げば」は「みぃいねぇぇぇぇえ、をぉぉぉぉお、あぁぁおぉぉぉぉぉぉおげぇぇ~~~」という長い時間がある。
だから動き出すタイミングや振り終わるタイミングはとても重要。間の使い方。これが日本の伝統芸能の難しさでもあり、魅力でもある。
上手い人の要素は色々あるが、能のセミナーで教授の話を聞いて、伝わることが重要なことの一つなんだと再認識した。確かに、恵都子先生の舞台は伝わってくる。
少しでも上達するように、そういう指導ができる人のもとでお稽古することと、
良い舞台をたくさん見ることが役立つと改めて思った。
ちなみに、連獅子の前にお稽古した、執着獅子のお稽古も大変だった・・・(写真は下浚いの様子)
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