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伝統芸能「道成寺」の凄さは心拍数でも示される

更新日:7月7日

先日、歌舞伎研究家の大倉直人先生のセミナーを受けた時のこと、

古典芸能は「演者がパワーをためて投げ、それを観る方も受け取らなければならない」というお話があり、

そのパワーがどれだけのものか分かりやすい映像として、20~30年ほど前にNHKで放送された「人体」という番組をご紹介くださいました。


それは「道成寺」に初挑戦する能楽師の梅若猶彦師と、大倉流小鼓方宗家の大倉源次郎師のお稽古の様子でした。

そのお稽古時に測定した心拍数、

大倉源次郎師が111→148→80、69と大きく変動し、

梅若猶彦師は167→173→182とどんどん高まり、装束をつけている映像では207まで上昇していました。

どれほど体を酷使して舞台に挑んでいるかを数値によって明らかにされました。


たしかに、少し前3月16日に伝統文化交流協会主催で行われたトークショーで、大倉源次郎師が「道成寺」について「極限、切羽詰まった感じでできたモノか、みんなが切羽詰まった感じにならないと成り立たない。芝居みたいにやると詰まらない」という旨のお話をされていました。


この「道成寺」をテーマにした作品は、日本舞踊の演目にも多くあります。

その一つである「男女道成寺」を藤間恵都子先生と花柳基先生がなさった舞台、残念ながら私は生の舞台を観ていないのですが、一昨日、お稽古場の姉弟子がその時の舞台についてお話ししてくれました。

「あれはホントすごい舞台で、私は観ていて涙がポロポロ落ちてきて、私は娘道成寺をやったことがあるからわかるけど、すごく大変なのよ。それを思うと恵都子先生はすごいなぁと泣けてきて~~(中略)~~途中、舞台袖で酸素ボンベを使っていたらしいのよ」と、経験しているからこそわかる感動があったのだなぁと羨ましく思いました。

この時、どれだけの心拍数で、どれだけ酸素を必要としたのでしょうか・・・

そういうパワーを観た方もしっかり受け止められたのですね。


現代劇と違い、能・歌舞伎・日本舞踊・文楽など、伝統芸能は観る側の想像力を必要とします。

今までに生きてきた経験や知識などの引き出しを使って想像するので、まさしく大人になるほど、感動体験の可能性はどこまでも広がっていくといえます。


ちなみに、私の場合、30分間のボクササイズで心拍数140ほど。着物を着て10分早歩きをすると時々心拍数150以上になることも。

装束や衣装で、舞台はより一層美しくなりますから、その演者の負荷にも感謝しながら、舞台を観たいと思います。




不定期で開催している「舞台映像鑑賞と茶話会」でも娘道成寺を取り上げています。

こちらもぜひ、ご参加お待ちしております。

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